>>>今月の特集(国別事情)



ベネズエラを震源とする中南米資源ナショナリズムの潮流


株式会社 三井物産戦略研究所 国際情報部 海外情報室 
主任研究員 藤森 浩樹
(ふじもり・ひろき)


 中南米の唯一のOPEC加盟国であるベネズエラのチャベス大統領は、ここ最近、主要な輸出品である原油の高騰を背景に、米国を刺激する言動を続けている。この2006年6月にはOPEC臨時総会が同国の首都カラカスで開かれた。原油価格が高値安定する中、同総会は生産枠の据え置きを決めた。しかし、開催国ベネズエラの同大統領は、中期的な原油高を想定し、同総会で減産を提案した。これには、近年、自国資源の国有化を強め、原油高による国家の収入を一層増大させたい戦略が見え隠れする。しかも、その資源国有化の動きはベネズエラだけにとどまっていない。2006年に入り、このベネズエラを震源地とする資源ナショナリズムの流れは近隣の中南米資源保有国の一部へ波及している。本稿では、中南米における新たな資源ナショナリズムの潮流を簡単に整理し、その影響について検討を試みたい。


強まるベネズエラの石油国家管理
 1999年2月の就任以来、ここ6年間でチェベス・ベネズエラ政権は法制度や税制を改正し、石油権益について国家の介入を図り、その強化を戦略的に図ってきた。まず、2002年に発効した新炭化水素法は、ロイヤルティー比率を引き上げ、すべての探鉱開発契約につき、ベネズエラ石油公社(PDVSA)の51%以上の権益保有、などを定めた。これに基づき、この新炭化水素法を次々改正し、石油採掘税、石油輸出登録税などの新税も相次ぎ導入、ベネズエラに進出している外資系企業の負担を増大させている。同国は石油資源の国家管理を戦略的に推進している。
 また、外資系企業の技術が開発に不可欠なオリノコ超重質油改質プロジェクトについても、国有化宣言をした上、同じようにロイヤリティー引き上げ、法人所得税引き上げの構えをみせている。具体的に、同計画プロジェクトで操業しているPDVSAを含む外資系4つのコンソーシアムにつき、2006年後半から法人所得税率34%から同50%へと引き上げた。さらに、原油価格がこの9月以降、やや調整色を帯び始めるとベネズエラはいち早くOPECの生産枠の減産を叫び始めた。OPEC加盟国の高価格を維持したいという本音を代弁したとも言える。いずれにしろベネズエラが価格形成における生産サイドの影響力の維持にも一役を果している。


反米を掲げるチャベス・ベネズエラ大統領
 ベネズエラの特徴は、急進左派であるチャベス同国大統領が率先して、上述の資源ナショナリズムと反米的な姿勢とを結び付けて国際社会にアピールするとともに中南米各国に働きかけていることだ。同大統領は、2006年前半、目下の国際社会の懸念の一つであるイラン核問題について、イランへ米国が軍事力行使の場合、原油価格は軽く100ドルを超えるとコメントした。原油市場をあえて煽(あお)ることにより、米国を困惑させるとともに、国際社会の憂慮を喚起しイランを側面サポートした。また、同大統領は、同国石油公社が精製し米国内で販売するガソリン供給の縮小にも再三言及、米国のガソリン供給につき懸念事項をわざわざ提供し、米国ガソリン小売価格の一段高を図るような材料作りに回った。さらに、米国が主導する米州自由貿易圏(FTAA)の代替として南米統合(ALBA)の設立を提唱しているほか、「米国の経済帝国主義からの脱却」などとことあるごとに強調し、反米的な外交方針を一貫して採り続けている。
 なお、FTAAはベネズエラの反対だけでなく、中南米の代表格ブラジルと米国の協議が中断したままで、その早期実現には疑問符が打たれている。
 結果として、ベネズエラと米国の両国関係は現在、冷たい空気に満ちている。2006年2月、ベネズエラが在カラカス米国大使館の武官を国外追放した。続いて米国航空機の乗り入れ禁止措置を発表。これに強く反発した米国も、ベネズエラを「テロ対策に非協力的な国」と反発し、対ベネズエラ武器禁輸措置を採った。それでもチャベス大統領は、反米的なカストロ・キューバ議長やモラレス・ボリビア大統領と3者会談し、ボリビアのALBAへの参加に合意を取り付けた。加えて、5月には米国がリビアをテロ支援国家から外し、正式な外交関係を樹立すると宣言した直後、リビア訪問を敢行しリビアの盟主カダフィ大佐と会談した。続く8月、レバノン紛争発生直後にもシリアを訪問、アサド大統領を支援するスタンスを強烈にアピールした。さらに、9月には国連総会演説でブッシュ米国大統領を「悪魔」と指弾した。同演説後は、同じく反米姿勢を続けるアフマネジャード・イラン大統領を自国に招いた。この際、ベネズエラ、イラン両首脳は、石油精製プラント・セメント工場の建設や農業機械、医療器械、船舶、自動車の生産など29分野にわたる約20億ドルの経済協力で合意した。その上、両国はベネズエラの最大の埋蔵量を誇るオリノコで初めて共同で石油開発を実施している。これらは、米国と厳しく対立する両国が経済面でも実質的な関係強化に回っている証左と考えられる。
 このような資源ナショナリズムと反米姿勢を明確に打ち出すチャベス政権の戦略は、次の3点に要約できよう。@資源ナショナリズムを元とする石油政策によって、原油高を背景に増加する石油収入をより一層極大化させ、その潤沢な石油収入の一部を貧民層に配分する。A反米的な姿勢により、主に米国系企業の工業生産に依存するベネズエラ国民の不満を汲み取り、国民の人気を得、支持を強化する。B中南米全体の底流にたまる米国への距離感を利用し、域内各国に反米的な機運と資源ナショナリズムの融合した政策や戦略を広める。反米的なスタンスを取る国との連携を強化し相対的にベネズエラの存在感を高める。
 これらの一連の戦略は、2006年に中南米における選挙の年というタイミングを狙ったものである。しかも、チャベス大統領は自分自身の再選がかかった2006年12月に予定されている同国大統領選を踏まえ、その再選を確実とするために資源ナショナリズムと派手な反米的なパフォーマンスをエスカレートさせているのだ。


域内に波及する資源ナショナリズム
 上述ベネズエラの石油政策を倣い、同じように石油・天然ガスの国有化に踏み切ったのがボリビアである。2006年5月1日、この1月に就任したばかりのモラレス・ボリビア大統領が国内のすべての天然ガス事業を国有化する大統領令を発令した。これによると、ボリビア国内で操業する外資系企業は、半年内で新たな条件で開発や生産契約を結び直すか、撤退を決定するか判断しなければならない。撤退する場合でも、ボリビア政府は無補償と突き放している。この結果、ボリビアで操業しているブラジルの石油公社ペトロブラスやスペイン・アルゼンチンの合弁企業など外資系約10社に悪影響が出ている。ボリビアのこの措置は外資規制や外資制限など国家管理の強化というよりむしろ強制的な国家管理による外資締め出しに近い。
 一方で、このボリビアを支援し、資源ナショナリズムという天然ガスの国家管理の知恵を授けたのはベネズエラである。ベネズエラの石油公社(PDVSA)はボリビアの石油公社に対し技術支援を実施しているほか、これら両国の石油公社が共同で約10億ドル規模を投資し、石油・ガス関連事業を強化推進する計画も浮上している。しかも、チャベス・ベネズエラ大統領は2005年末のボリビア大統領選挙期間中から同じ左派のモラリス候補(現大統領)に3千万ドルを支援し内政干渉との強い批判を受けたほど肩入れしていた。
 このほか、エクアドルでも、2006年5月、同国政府が米国系石油企業オキシデンタルとの石油採掘契約を無効とし、オキシデンタルの資産を同国の国営石油会社の管理下に置いた。これは、石油権益をめぐる契約につき、エクアドル側が税率引き上げを意図し、双方の対立が決裂したという経緯があるようだ。これを受けた米国は米国民間企業の所有資産の不当な没収ととらえ、エクアドルとのFTA(自由貿易協定)交渉を停止した。
 ベネズエラの資源ナショナリズムがボリビアに飛び火し、顔をしかめざるを得ないのがブラジルである。ブラジルはアルゼンチンとともに、そのガス需要のほぼ半分をボリビア産出の天然ガスに依存する。しかも、ブラジルのペトロブラス、スペイン・アルゼンチン合弁のレプソルなどの石油・ガス企業はこれまで大型の投資をボリビアに注いできた。ブラジルは、同じく対ボリビア投資をしている欧州系企業やそれら企業の母国からボリビアへの説得やその仲介まで打診されているようだ。その上、ボリビアは天然ガス売却価格の吊り上げを強く主張している。アルゼンチンは2007年の天然ガス価格については、ボリビア側の要求を飲んだ。アルゼンチンはボリビアからの天然ガスの一部をチリ向けに再輸出しており、チリとボリビアの対立関係もこの価格交渉に影響を与えたとも考えられる。いずれにしろ、ボリビアは欧米、ブラジルなど外資企業のほかに、域内においても自国の国益優先に傾いている。
 こうした中、そのブラジルの困惑を見越してか、したたかにベネズエラは、ブラジルを中核とするメルコスールにアプローチし、2006年5月にこれまでの準加盟国から正式加盟国への昇格を決めた。その手続きには今後4年間というやや長めの期間を要するものの、新たな中南米の統合を目指す動きとも受け取ることができる。この直前、ベネズエラは、CAN(アンデス共同体)と親米国メキシコ、コロンビアと結成していたG−3の双方から脱退し、メルコスールに参加した。これにより、南米大陸の南部のブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国の経済圏であったメルコスールは新たな南米統合を予感させる動きとなった。一方、南米大陸の北端に位置するベネズエラは、これまで参加していた親米国や親米的な同盟から抜け、その南向きの意図を鮮明にした。


ロシア・中国の影響
 さて、注意したいのは、中南米のベネズエラを震源地とする資源ナショナリズムの流れは域外のロシア、中国に影響を受けている点だ。資源ナショナリズムという形で国家管理を強化してきたロシア、対象分野をエネルギーにとどめず、金属などの素材関連にまで対象を広げている中国、という米国と歴史的に距離を置いてきた両国のエネルギー資源政策を戦略的なモデルとして研究していたとも考えられる。
 まず、記憶に新しいのは、欧米企業の基準で企業の利益拡大を掲げた石油企業ユーコスがロシアの政界から警戒され経営トップが逮捕されたユーコス事件である。ロシアではこのユーコス事件を境に、二期目で基盤が固まったプーチン・ロシア大統領は、同国の石油・ガス業界の再編を強力に推進してきた。国営石油企業ロスネフチのユーコス合併やロシア政府が大株主であるガスプロムによる権益独占化により、石油・ガス資源という外貨獲得分野における国家管理を強化した。また、石油・ガスのみだけでなく、非鉄など他の金属資源までを国家管理の対象に入れるべく、2005年には地下資源法を改定した。この改定は、主要資源の大きな鉱区における今後の新規入札について、ロシア企業が過半数を出資している企業にのみに入札を認める内容を持つ事実上の外資規制である。この2006年10月も、ガスプロムは極北バレンツ海に位置する世界最大級とされるシュトックマン・ガス田(可採埋蔵量3.2兆立方メートル)開発について外国企業5社との交渉を打ち切り、独自開発に切り替えると発表した。プーチン政権は、戦略産業と位置づけるエネルギー資源分野から外資を排除し、統制を強化する姿勢をより鮮明にしている。
 一方、中国については、発電向けや鉄鋼生産の主要原料となる石炭輸出が2004年にそれまでの輸出を促進する方針から一転、総量制限へと転換した。その後総量制限は一部緩和となった場面もあるものの、中国国内の石炭需要が急増しているため、国内優先を基軸に据え始めたと理解されている。また、最近はレアメタル(希少金属)につき、既に実施している輸出制限をより一層激しく数量制限する節がみられる。タングステンなどレアメタルは将来枯渇する恐れがある。このため、希少性を有する金属は今後その輸出量を国内の消費を重視するために制限するという理由で規制が設定された。この結果、レアメタルを一部の素材とする日本など先進国ハイテク産業は、需給動向によって、今後中国の輸出許可が下りず、必要量が調達できないという供給懸念を一層強く抱えることとなった。
 レアメタルについては取引市場が存在しない。つまり需要供給に即した適正な市場価格の形成ができない。生産者と消費者との間で事実上交渉し、いわゆる相対で取引価格が決まるケースも多い。この結果、価格変動が激しく、その価格が恣意的に決まりやすい。しかし、日本の電気・電子分野の製造業が主に国際競争力を持つ大型液晶テレビやデジタルカメラなど最先端製品の生産には、少量ながらも必要不可欠な素材である。今後、こうした分野の調達にも資源ナショナリズムが影響するようなケースも想定できる。
 さて、こうしたロシア、中国の動きをベネズエラ同様にトレースしてきたのは、イランだったのではあるまいか。イラン核開発疑惑は2005年後半以降の国際社会の最大の問題となっている。イランにおける核開発の真偽などは別に譲るとしても、自国の資源をより多量に輸出するために、国内需要は原子力発電で賄うという戦略的な方針は、保有資源から得られる利益の極大化を図ったものである。この視点からとらえるならば、イランの核開発問題も形を変えた資源ナショナリズムの問題とも理解できよう。興味深いことに、資源ナショナリズムに傾く各国の共通点は、米国を若干牽制(けんせい)したい意向を持っていたり、米国と現在あるいは過去に対立したりしている点である。


米国関係が経済の中核である中南米
 こうした状況下、中南米と米国との間のややぎくしゃくした関係を利用して、中南米の資源国に積極的なアプローチをしているのが中国、インドである。この両国は近年の経済成長による国内需要増を受け、エネルギー資源の確保に走らなければならない事情を抱える。しかし、米国に距離的に近く、その裏庭とも言える中南米には近寄り難かった。ところが、状況は一変している。この8月、チャベス・ベネズエラ大統領は、中国に請われて、2006年末までには2005年の約3倍の原油輸出を約束し、近い将来50万b/dの中国向け原油輸出を言明している。このほか、開発分野についても、ベネズエラは、オリノコ超重質油の新規鉱区における開発(埋蔵量確認の段階)に、インドの石油天然ガス公社(ONCG)、中国石油天然ガス(CNPC)、ロシアのルクオイルとガスプロム、など友好国企業を積極的に参加させている。
 とはいえ、ベネズエラも含め反米的な動きをみせる中南米各国にとって、やはり米国は無視できない存在である。例えば、ベネズエラはその石油輸出量約200万b/d(バレル/日)の約6割を米国に輸出している。また、ベネズエラにとって米国は最大の貿易相手国でもある。2005年にて、ベネズエラの総輸出額の約5割は米国向けである。一方、輸入についても、米国からの輸入は輸入総額の約3割を占める。その上、国内工業生産の多くを米国系大手企業に依存している。2005年の対内直接投資のうち、タックスヘブンの英領ケイマン、米国がそれぞれ約4割を占める。実際、2005年もGMやフォード、P&Gなどがベネズエラの各拠点の生産能力増強のために追加投資している。ベネズエラはその貿易・投資両面において米国関係を簡単に切れないのだ。武器禁輸にしても、これまで米国製兵器を購入してきたベネズエラ軍の弾薬供給など問題も発生している。それでも米国を牽制しようとロシアからの武器・兵器購入に回り、米国がロシアにベネズエラへの武器売却に注文を付ける事態を招いている。しかし、イラク戦争とイラン核問題など中東地域にかかりつけで、ベネズエラは支持率も低下しているブッシュ米国政権を冷静に見極めているとの指摘もある。他方、米国サイドとしても、その原油輸入全体のうち、約1割超をベネズエラに依存し、この原油高が続く状況の中でベネズエラ原油の供給縮小は簡単に無視できない。

米国のベネズエラ原油輸入と依存度

 ただ、ベネズエラが推進することにより、中南米全体の資源ナショナリズムの高揚がみられるとの予想を完全に否定できない。反米的な外交活動をみせるチャベス大統領はベネズエラ国内だけでなく中南米全体の一般民衆の人気を博する。このため、ベネズエラと同じ左派的な政権が目立つ中南米各国はチャベス・ベネズエラ政権の発言をまったく無視するわけにもいかない。その上、ベネズエラは債務に苦しむアルゼンチン国債を引き受け、原油高にあえぐカリブ海諸国に延べ払いや長期支払い融資付の原油輸出するための枠組み(ペトロ・カリベ協定:注)を設定している。中南米の小国を中心に便宜を図るベネズエラは域内で一定の発言力を持つ。このため、同国が加盟予定のメルコスールなども通じ中南米全体を刺激していくことも考えられる。世界的な需要増により、中南米全体がエネルギーのみならず鉱産物まで含めた国際資源の供給地として存在感が増している。その中で、チャベス大統領は、ベネズエラ国内と同じように、中南米の貧富格差の是正や資源収入の公平な配分を謳(うた)い、国益を高める手段として資源ナショナリズムを宣伝していこう。これに、中南米の底辺に渦巻く反米的なるものと混じり合い、その流れが一層拡がっていくケースも想定される。


今後の行方
 上述のとおり、中南米は米国への不満を持つ一般民衆が存在し、その影響もあり左派政権が多数派を占めている。しかし、米国との対決姿勢まで明確に示す国は一部にとどまる。ベネズエラが喧伝する資源ナショナリズムも一部にその影響が観測できるものの、域内全体への波及までには至っていない。中南米の盟主ブラジルや世界的な銅産出国チリなどの左派政権はベネズエラやボリビアと一線を画し現実的な方針を打ち出している。両国ともベネズエラやボリビアのような極端な資源ナショナリズムは海外からの投資資金の流入停止につながるとみている。実際、国家管理を強制したボリビアやベネズエラへのエネルギー投資は停止し、開発投資継続のほか、現状の生産維持にも赤信号が灯っている。また、ブラジルの海底油田の本格的な開発やチリやペルーにおける銅やニッケルなど新規開発などには海外の開発技術や資金が必要なのである。このほか、上述したように中南米経済は、特に米欧との関係が深く、その貿易・投資は欧米に少なからず依存する。一部を除き、中南米の大半の左派系政権は冷静に判断しその基本的な資源政策を策定している。
 とはいえ、中長期的に国際資源構造は質的な変容が順次進行するような展開も考えられる。つまり、資源ナショナリズムが世界的に拡大し強化されていく場合、資源エネルギー開発の促進に時間や費用がより一層かさむことになると見て良いだろう。また、鉱産物資源における国家管理の強化は、原油同様に鉱産物開発のコスト上昇のほか、一部金属メジャーの寡占化の流れを加速させている。この結果、中長期的にエネルギー・金属資源全体における供給サイドはこれまで以上に独占的な事業形態になりかねない。国家管理の進行によって、開発権益における高騰が続く構造が一層強固になる可能性は高まっている。
 とりわけ、原油市場についてはその影響が懸念されることになろう。ここ2年ほど続いてきた原油高は、2006年9月以降調整局面入りしているが、原油価格の水準は底堅く推移することが見込まれる。底堅い基調が続く中、世界的に資源ナショナリズムの流れが強まり、この基調と呼応するような局面に陥る場合、高めの原油価格を下支えしていく構造が築かれることとなろう。
 いずれにしろ、現状、中南米では資源ナショナリズムが広範に波及する公算は小さいものの、その底流で今後もくすぶり続ける状況は変わらないのではあるまいか。◆



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注: ペトロ・カリベ協定:2005年6月、中南米とカリブ海地域諸国の首脳によるエネルギー・サミットで開催国ベネズエラが提唱。石油の探査、採掘、生産、精製、輸送、備蓄、技術協力を通じ地域の経済発展を目標とする協定。協定の内容は@カリブ地域へ優先的な安い石油供給、Aその供給の支払い条件を緩和、などを通じて同地域の社会発展を進める。参加16カ国のうち14力国が署名。


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