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カントリーレビュー1

ニカラグア、ジャマイカなど6カ国の国カテゴリーを変更
~OECD カントリーリスク専門家会合における国カテゴリーの見直しについて~

 2017年10月25日~26日、第79回カントリーリスク専門家会合1がパリOECD本部で開催された。当会合では中南米諸国及びアフリカの中部・西部地域の国カテゴリーが議論された。議論の結果、以下の6か国の国カテゴリー2が変更となった。本カントリーレビューでは格上げとなった国の一つであるニカラグアを取り上げることとしたい3

国カテゴリーの見直し表

ニカラグア...堅調なFDI及び労働者送金の流入に支えられ、高成長を達成

 同国は、約20年間、最もカントリーリスクの高い「H」カテに分類されてきたが、今会合において、一段階上の「G」へ格上げとなった。ここでは同会合の議論の詳細については割愛するが、(a) 堅調な海外直接投資(FDI)及び労働者送金の流入、(b) マネージブルな公的債務が今会合で評価され、格上げとなった。以下、この点について簡単にレビューしてみたい。

1.堅調なFDIと労働者送金の流入

 同国経済は、過去5年間、5%(平均)を超える成長率を遂げており、ラテンアメリカの平均を上回っている(図1参照)。この背景には主として、(1) 鉱業やエネルギー分野等へのFDIの流入、(2) 米国等からの労働者送金が拡大していることが挙げられる。
 FDI流入については、2007年の3.6億ドルから、近年には7億ドル~9億ドルへ倍増している(図2参照)。FDI の対GDP比率で見ると、2001年から2007年の平均が同3.9%であったのに対して、2008年から2016年の平均は同6.7%と大きく増えた(中米ではパナマに次ぐ第2位の水準)。この拡大の要因として、①外資誘致策(保税加工区での税制優遇など)が魅力的であったこと、②労働コストが低かったこと、③投資国(パナマ、米国、メキシコ、ベネズエラ等)や投資分野(保税加工区、鉱業や再生可能エネルギー分野)が多岐にわたっていたことが挙げられる。同国の経常収支は赤字であるが(GDP比約10%)、これらのFDI流入によって、同赤字の約3分の2はカバーされている。これまでベネズエラからの投資に依存していたが、現在、投資国は分散されており、全体のFDI流入に大きな影響は出ていない。
 一方、労働者送金は約12.6億ドル(GDP比10%)に上り、同国経済を大きく下支えている。米国及びコスタリカからの労働者送金が多くを占めている(米国には約30万人のニカラグア人が居住していると言われている)。堅調なFDIや海外労働者送金の流入によって、同国の外貨準備高は2007年の11億ドルから、2016年には24.4億ドルと順調に増加している(図2参照。輸入カバー月数も3~4ヶ月で推移)。

  • 図1
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  • 図2
    図2
  • 図1
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  • 図2
    図2

2.IMFとの関係は良好で、公的債務はマネージブルな水準

 同国はHIPC(重債務貧困国)イニシアチブ適用国で、債務救済の適用を受ける前の公的債務は対GDP比140.2%(2003年)であった。しかし、2004年1月に債務救済措置を受け、現在の公的債務は対GDP比45.2%へと大幅に減少した。外部格付機関は、同国の公的債務の水準を“moderate”と評価している。現在、公的債務の約92%が対外債務となっているため、為替変動リスクを受けやすいが、対外債務のほとんどが国際金融機関やドナー国からの長期の低金利のコンセッショナルローンで構成されている。このため、ロールオーバーリスクは一定程度抑えられている。IMFも同国の公的債務の維持見通しに関しては、「moderate risk」と評価しており、現在のところ深刻な懸念点はみられない。
 IMFとの関係は良好で、同国政府はIMFから適宜、財政政策等に関して技術的なアドバイスを受け入れ、健全財政の強化に力を入れている(現在、IMFのプログラム下にはない)。また、IMFから石油依存度を小さくするようにアドバイスを受けており、同国政府は、再生可能エネルギー(地熱、風力等)を利用した発電所建設計画(2018年完成)を進めている。
 国カテゴリーが一段階上がったことで、同国向けのプロジェクトが数多く組成され、同国経済がさらに発展することを期待したい。



1 OECDカントリーリスク専門家会合の格付及びNEXIの国カテゴリーの詳しい説明については、e-NEXI「2016年5月号」をご参照ください(http://nexi.go.jp/webmagazine/mt_file/e-nexi_2016_05.pdf)。

2 NEXIでは全225か国・地域をカントリーリスクの度合いに応じて、A~Hの8つのカテゴリーに分類している。Aはカントリーリスクが一番低く、Hに近づくほどカントリーリスクが高くなっていく。

3 本カントリーレビューの中の意見や考え方に関する部分は筆者個人としての見解を示すものであり、日本貿易保険(NEXI)としての公式見解を示すものではありません。尚、信頼できると判断した情報等に基づいて、作成されていますが、その正確性・確実性を保証するものではありません。

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